サミュエル・L・ジャクソン(Samuel L. Jackson)こと、サミュエル・リロイ・ジャクソン(Samuel Leroy Jackson, 1948年12月21日 - )は、アメリカ合衆国出身の俳優。
生い立ちと学歴
ワシントンD.C.出身。テネシー州で育ち、アトランタのモアハウス大学で海洋生物学、建築、演技を学んだ。大学時代、学校の黒人差別に対抗し、人質をとって抗議したことがある。
キャリア
舞台やテレビ映画に出演したのち、1972年のブラックスプロイテーション映画『Together for Days』(マイケル・シュルツ監督)に出演して長編映画デビューをする。1976年にアトランタからニューヨーク市に移り、演劇に出演する。この間に、アルコールとコカインへの依存症を体験する。
1988年公開の『星の王子 ニューヨークへ行く』に「マクドゥーウェル・ハンバーガー」への強盗役で出演し、以降『グッドフェローズ』や『パトリオット・ゲーム』、『ジュラシック・パーク』などの大作に脇役で出演。
1991年公開の『ジャングル・フィーバー』での演技が高く評価され、第44回カンヌ国際映画祭で助演賞を受賞したが、本来カンヌ映画祭に助演賞は設けられておらず、彼の演技のためだけに一時的に開設されたものであった。
1994年公開の『パルプ・フィクション』の、聖書を読み上げる殺し屋ジュールス役でアカデミー助演男優賞にノミネートされたことをきっかけに注目を集める。
1995年公開のブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード3』に、準主役で出演し有名俳優の仲間入りを果たした。
1996年公開の『評決のとき』ではゴールデングローブ賞 助演男優賞にノミネートされ、1998年公開の『ジャッキー・ブラウン』で演じたオデール・ロビー役ではベルリン国際映画祭男優賞を受賞した。
2011年には史上最高の興行収入を上げた俳優としてギネス記録を達成した。こういった功績が称賛され、2022年にはアカデミー名誉賞に輝いた。
遅咲き
エディ・マーフィの主演映画『ショウタイム』で「サミュエル・L・ジャクソンは42歳でブレイクしたんだぜ」という台詞がある。『星の王子ニューヨークへ行く』で脇役を演じたサミュエルが今やエディよりも高給を取っているというジョークである。
デビュー当時はテレビでの仕事が多く、映画界への足掛かりは『ドゥ・ザ・ライト・シング』『モ'・ベター・ブルース』『ジャングル・フィーバー』とスパイク・リーの映画に立て続けに出演して評価を高めていった。なお、スパイクとはモアハウス大学の先輩後輩である。
メイス・ウィンドゥ
ジョージ・ルーカスが監督した『スター・ウォーズ』新3部作ではメイス・ウィンドゥを演じた。このとき、出演はルーカス本人に直訴してやっとの事で役をもらった経緯がある(「ノーギャラでもいいからヨーダと共演させてくれ」と頼み込んだという)。
また、スター・ウォーズについて、「僕が宇宙に望むものが全て入った映画だった。ライトセーバーを振り回すジェダイ達、物凄い速さで飛ぶ宇宙船、それにあの衣装。全てがパーフェクトなんだ。まるで、誰かが僕の空想の世界に入ってきて、それを映画にしたみたいだったよ」とコメントしている。
なお、本来ライトセーバーは青、緑、赤の3種類のカラーしか存在しないことになっていたが、どうしても紫がいいと本人が希望したため、特別に紫のライトセイバーとなった。またこのライトセイバーにはこちらも本人の希望で、放送禁止用語が刻印されていた。
人物
1980年に女優のラターニャ・リチャードソンと結婚し、娘が1人いる。
千葉真一の熱狂的ファンで、千葉と初めて会った時には直立不動で「サインをください」と頼んでいた。千葉が『パルプ・フィクション』の撮影現場を訪問した際、いつもは自信満々で堂々としているジャクソンも、このときばかり緊張を隠せなかった。2012年の『アベンジャーズ』では、かつて千葉が演じた柳生十兵衛のキャラクターを、役のニック・フューリーに取り入れるなどタフガイを演じる時にはいつも千葉の演技を参考にしている。
コミックとアニメの熱心なファンとして知られ、『アフロサムライ』では原作コミックを気に入りプロデューサーと声優も務めアニメ化に尽力した。お気に入りのアニメは『獣兵衛忍風帖』、『ブラック・ラグーン』など。
NBA、サンアントニオ・スパーズのファンであり、2014年優勝記念ビデオにナレーションで参加している。
吃音症であることを公言している。幼少期に発症して以降、「吃音ではない人のふりをする」といった方法で症状を抑制する術を学んだが、成人後も調子の悪い日には言葉に詰まることもあるという。
ジャクソンはガボンのベンガ族にルーツを持つとDNA検査で示された後、2019年にはガボンに帰化している。
出演作品
※太字表記は主演。
映画
テレビ
ビデオゲーム
受賞
- 1991年『ジャングル・フィーバー』で、カンヌ国際映画祭(助演男優賞)、ニューヨーク映画批評家協会賞(助演男優賞)受賞。
- 1995年『パルプ・フィクション』で、アカデミー賞(助演男優賞)ノミネート、英国アカデミー賞(助演男優賞)受賞。
- 1998年『ジャッキー・ブラウン』で、ベルリン国際映画祭(男優賞)受賞。
- 2022年 第12回ガバナーズ賞で、アカデミー名誉賞(第94回)受賞。
日本語吹き替え
主に担当しているのは、以下の人物である。
- 手塚秀彰
- 『交渉人』(ソフト版)で初担当。以降、大半の作品を吹き替えており、サミュエルの吹替声優として知られている。マーベル・シネマティック・ユニバースでのニック・フューリー役もシリーズ初期は担当していたものの『アベンジャーズ』以降は大半の作品で竹中直人が担当している。
- 玄田哲章
- 『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のメイス・ウィンドウ役で初担当。同作をはじめとして、サミュエルが出演した『スター・ウォーズ』シリーズは全作品を吹き替えたほか、サミュエルが声優として出演した作品や『トリプルX』シリーズ、『キングスマン』なども担当し、手塚と並んでサミュエルのお馴染みの吹替声優として定着している。
- 大塚明夫
- 『ローデッド・ウェポン1』(標準語版)で初担当。以降、『パルプ・フィクション』などのクエンティン・タランティーノ監督作品をはじめとして上記二名に次いで多く吹き替えている。
- 池田勝
- 『愛犬フルーク/生まれかわったパパ』で初担当。以降、『ダイ・ハード3』、『ディープ・ブルー』など、主に初期の作品を担当している。
このほかにも、江原正士、屋良有作、石井康嗣、銀河万丈、石塚運昇、立木文彦、谷口節なども複数回、声を当てている。 また、サミュエルが声優を務めた『Mr.インクレディブル』シリーズのフロゾン役は斎藤志郎が担当している。
脚注
外部リンク
- 公式ウェブサイト(英語)
- Samuel L. Jackson (@SamuelLJackson) - X(旧Twitter)
- Samuel L Jackson (@samuelljackson) - Instagram
- Samuel L. Jackson (samuelljackson) - Facebook
- サミュエル・L・ジャクソン - allcinema
- サミュエル・L・ジャクソン - KINENOTE
- Samuel L. Jackson - IMDb(英語)




