超絶主義(ちょうぜつしゅぎ / 英: Transcendentalism)は、1820年代後半から1830年代にかけてアメリカ東部で発展した哲学運動である。超越主義(ちょうえつしゅぎ)とも言う。英語ではトランセンデンタリズム(Transcendentalism)と言い、「乗り越える」を意味する「transcend」という語に由来する。

概要

1830年代半ば頃から1860年頃にかけアメリカ合衆国ニューイングランド地方のユニテリアン派の中よりラルフ・ワルド・エマーソンやヘンリー・デイヴィッド・ソローらによってロマン主義運動・思想(理想主義運動)が行われた。これは、1836年9月8日、ボストンに「超絶クラブ」が設立されたことが発端とされる。同年の評論「Nature」において、アメリカのラルフ・ワルド・エマーソンは、この超絶主義を世に打ち出した。

超絶主義は、客観的な経験論よりも、主観的な直観を強調する。その中核は、人間に内在する善と自然への信頼である。一方、社会とその制度が個人の純粋さを破壊しており、人々は本当に「自立」して独立独歩の時にこそ最高の状態にある、とする。

エマーソンの超絶主義哲学は、19世紀後半にアメリカで始まったキリスト教異端的霊性運動ニューソートの理論的根拠として用いられ、運動が広まる支えとなっており、ニューソートはニューエイジ、カルト、通俗心理学、自己啓発運動や自己啓発書に大きな影響を与えた。

思想

超絶主義は、ドイツロマン主義、とりわけヨハン・ゴットフリート・ヘルダーとフリードリヒ・シュライエルマッハーの思想と親密である。スタンフォード哲学百科事典によれば「イギリスとドイツのロマン主義、ヨハン・ゴットフリート・ヘルダーとフリードリヒ・シュライエルマッハーの聖書批評とデビッド・ヒュームの懐疑論」に触発され、さらにはイマヌエル・カントに代表されるドイツ観念論の「超越論的」哲学をも包摂している。しかしながら、初期の超絶主義は、元来ドイツ哲学とは疎遠であり、むしろ主としてイギリスのトーマス・カーライル、サミュエル・テイラー・コールリッジや、フランスのヴィクトル・クザン、アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタールらの思想に依拠していた。

超絶主義運動に関係する人物

  • ラルフ・ワルド・エマーソン
  • ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
  • マーガレット・フラー
  • エイモス・ブロンソン・オルコット
  • ルイーザ・メイ・オルコット
  • チャールズ・ティモシー・ブルックス
  • オレステス・ブラウンソン
  • ウィリアム・エラリー・チャニング
  • ウィリアム・ヘンリー・チャニング
  • ジェームズ・フリーマン・クラーク
  • クリストファー・パース・クランチ
  • ジョン・サリバン・ドワイト
  • コンバース・フランシス
  • ウィリアム・ヘンリー・ファーネス
  • フレデリック・ヘンリー・ヘッジ
  • シルベスター・ジャッド
  • セオドア・パーカー
  • エリザベス・ピーボディ
  • ジョージ・リプリー
  • トーマス・トレッドウェル・ストーン
  • ジョーンズ・ヴェリー
  • クリス・マッキャンドレス
  • ウォルト・ホイットマン

脚注

外部リンク

  • 『超絶主義』 - コトバンク
  • 『トランセンデンタリズム』 - コトバンク

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